「存在のない子供たち」映画情報
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あらすじ
中東の貧民窟で暮らす12歳のゼインは、貧しい両親が出生届を提出していないため、IDを持っていない。ある日、ゼインが仲良くしていた妹が、知り合いの年上の男性と強制的に結婚させられてしまい、それに反発したゼインは家を飛び出す。仕事を探そうとしたがIDを持っていないため職に就くことができない彼は、沿岸部のある町でエチオピア移民の女性と知り合い、彼女の赤ん坊を世話しながら一緒に暮らすことになる。しかしその後、再び家に戻ったゼインは、強制結婚させられた妹が亡くなったことを知り…。
出典:映画.com
予告編
作品データ
原題 | Capharnaum |
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製作年 | 2018年 |
製作国 | レバノン |
上映時間 | 125分 |
監督 | ナディーン・ラバキー |
製作 | ミヒェル・メルクト ハーレド・ムザンナル |
脚本 | ナディーン・ラバキー ジハード・ホジェイリ |
メインキャスト | ゼイン・アル・ラフィーア ヨルダノス・シフェラウ ボルワティフ・トレジャー・バンコレ |
受賞歴 | ・カンヌ国際映画祭審査員賞他 ・ストックホルム国際映画祭脚本賞他 ・ロッテルダム国際映画祭観客賞 他多数映画賞受賞 |
「存在のない子供たち」映画解説

レバノンの悲惨な状況のなかでの子供たちの苦しみを描いた作品だニャ…
作品解説
レバノンの女性監督ナディーン・ラバキーによる、貧しさゆえに親からまともな愛情も受けることができずに生きる12歳の少年の目線を通し、中東の貧困・移民問題を抉り出した人間ドラマです。
第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門では、15分のスタンディング・オベーションを受け審査員賞を獲得したのを代表にし、数多くの映画賞を受賞しており、アカデミー賞やゴールデングローブ賞もノミネートされています。
監督はこの映画の構想について、「子供たちは私たちによる紛争、戦争、システム、愚かな決断、そして政府に本当に高い代償を払っている。私は問題について語る必要性を感じ、そしてこの子供たちが話すことができれば、表現することができれば、彼らは何を言うだろうかと考えた。彼らは自分たちを無視する社会について、私たちになにを言うだろうか?」と述べています。
リアルさを追求した配役
主役である子役のゼイン・アル・ラフィーアは、スラム街に8年住む実際のシリア難民であり、自身の経験を演技にも生かしたそうです。役名も彼にちなんでゼインと名付けられています。
出典:映画.com
ゼインだけでなく、出演者の多くが新人という後世になっています。よりリアルさを出すことが、本映画では必要と判断した監督の配役が見事にはまった作品になっています。
「存在のない子供たち」感想・レビュー
レバノンのシリア難民では、人身売買や臓器売買、子供の誘拐など日常的におっこなわれているような悲惨な状況と聞いていますが、まさしくそういった社会の中で犠牲になる子供たちを、余りにも重く描いた作品でした。いや、現実は映画よりもひどいのだろうと想像もつきます。
出典:映画.com
まず、ゼインのひたむきに生きていく姿に心を打たれます。国籍のない女性の子供(たしか1歳でした)を見捨てることもなく、12歳であろうゼインが必至で守ろうとします。が、誰一人とも助ける人はいないのか…と憤りすら感じますが、それは日本人の考えでしょう。難民は自分たちが生きることで精いっぱいなのですよね。
出典:映画.com
12歳では守り切れなかったときに流した、ゼインの涙が余りにも観ていて苦しい…。
ゼインの親は彼に何をしてあげたのでしょうか?
「両親を訴えたい、その罪は、ぼくを産んだつみ」
なんとも強烈で重みのある訴えだろうか。いまだかつてこんなに苦しいと感じた告訴は聞いたことが無いです。子供を産むだけ産み、出生照明も無し、世話なんかはほとんどみず、挙句の果ては11歳の妹を売りに出し死なせてしまう。
なんで産むのか?正直観ていて私にも理解ができませんでした。子供を売るため?いやそんなことがあり得るのでしょうか?日本人だから分からないからでしょうか?妹が死に絶望のゼインに、母親からの妊娠したという一言…。
なんて、辛い映画なんだろう…。
でも、鑑賞して良かったと思います。子役のゼイン・アル・ラフィーア君が見事な演技を見せてくれましたし、平和ボケしている中で現実の世界では貧困で苦しむ人々が居て一番の犠牲が子供たちとうことを、知らせてもらえた映画でした。

両親には腹がたつニャ!そして現実で何もできない自分も情けないニャ!